「パラノマサイト FILE23 本所七不思議」をクリアしたので評価とレビューを書いておきます。
パラノマサイト FILE23 本所七不思議
https://store-jp.nintendo.com/list/software/70010000060827.html
ジャンル:ADV
発売日:2023年3月9日
評価レビュー
メタスコア:85
私の感想評価レビュー
総合85点
音楽 | 4.5 |
グラフィック | 4.5 |
ゲームプレイ | 4.0 |
ストーリー | 5.0 |
システム | 3.5 |
簡易まとめ
昭和の日本を舞台として、実際にある地名や伝書などを含めながら、とても上手く作られたストーリーのアドベンチャーゲームでした。
ジャンルはホラーとミステリーなのでCERO:D(17才以上対象)となっていますが、そこまで恐くはありません。幽霊が写ってドキッとする場面が2、3ヶ所ある程度です。
発売したのが今年の3月で、評判が良いのは聞いていましたが遊んでおらず、一昨日の「日本ゲーム大賞2023 優秀賞」に選ばれたこのタイミングで
ちょうどセールも行われていたので、遊んでみましたが本当に面白かったです!
スクエニ販売のタイトルでありながら定価が1,980円と低めで、購入前から中規模開発なんだなと分かるボリュームですが、綺麗に丁寧にまとまっていて面白いです!
ゲームは基本的にテキストを読み進めるノベルと、視点を360度動かして周囲を調べる探索要素があります。360度見渡せるということでまさに「パノラマ」のようですが、ゲームのタイトルは「パラノマサイト」です。
360度見渡せるシステムやタイトル画面の背景から、おそらく「パノラマ」にも掛けていると思われますが、
トゥルーエンドに到達すると「超常現象=パラノーマル」と「見る能力=サイト」の組み合わせが有力だと感じます。
ゲームは最初、「興家彰吾」というキャラクターを主人公として淡々と一本道なストーリーを進めていくことになりますが、少し進めたところで3人の主人公が追加され、それぞれ異なる物語を進めていくことになります。
(あまり詳しくは書けないのですが、最初に主人公だと思っていたキャラクターからの切り替わり方、オープニングへの入り方がとても格好良かったです。)
それぞれの主人公は「本所七不思議」と呼ばれる江戸時代の怪談と「蘇りの秘術」を求めて呪い合い(殺し合い)をすることになります。
その中で何も関係が無いような3人の主人公とその周りにいる人物が実は繋がっていて、「本所七不思議」の秘密も明らかになっていきます。
七不思議とは怪談を集めたものですが、実はそれらにも繋がりがあって、そのことを終盤に気づかせるような作りになっていて、とてもよく出来ていると関心しました!
パートの区切り方だったりテキストの量もちょうど良いので悪いところがほぼありませんでした。
(マイナス要素ではありませんがフルボイスでオート再生できたら加点でした。)
グラフィックは2Dの控えめな絵ですが表情が分かりやすくてキャラデザも良かったです。昭和後期の設定を考えるとマッチした画風だなと感じます。
不満点ではありませんが、ミヲのように特徴的な髪飾りやホクロがあると、左右反転で使い回されている部分は少し気になりました。
音楽はADVにしては数が多くどれも良質です。同じ価格帯でもインディーだともっと安いっぽいものになるので、お得感があります。
ジャンルがホラーとミステリーですが過激なものではないので、ADVが好きな方全員にオススメのゲームでした。あまり長くないので、ADVを遊ばない方も遊びやすいです。「日本ゲーム大賞」のお墨付きは伊達じゃないです。
プレイ時間
トゥルーエンドまで10時間、なめどりを20種類集めるところまでやりましたが、テキスト全回収はしていません。
気に入ったところ
- 音楽
- ストーリー全般
- ミヲちゃん(が太ましいところ)
もう少し詳しく
音楽
◎ADVのジャンルにしては曲数が多く、どれもシーンにマッチしていて良かったです。感情に寄せたものが多いです。あとは「いかにも」な、分かりやすいものが多いです。
オープニングなどで流れるメインテーマはカッコよさもあって好きです。
△ボイスがない。結果としてかなり楽しめたのですが、ボイス有り・演技有りで聞いてみたかったです。ボイスオプションのアレは使えませんが声の演技に勝るものではないので。(逆に予算の都合で生まれたアイディアがアレなのだとしたら天晴です。)
グラフィック
◎精細だったり豪華ではありませんが全体のバランスが良いです。写真を加工した?背景ともマッチしていました。
動きも少ないですが、表情やカメラワークなど強調するところはしっかり演出されていて引き込まれました。
◯色差で昔のカラーテレビのような質感になっているのも良かったです。オプションでそれをオフにできるのも抜かりないので安心です。
ゲームプレイ
◎文字が大きく、文章の区切り方も良いので読みやすい。それ以外の理屈は分からないのですが何故かめちゃくちゃ読みやすく感じます。
◎シーンの区切り方が良く使いやすい。ちょうど良い長さで区切られるのもそうですが、シーンの中にもさらに開始点が複数設定されていて遊びやすいです。Bボタン長押しによるスキップも高速なのでストレスが少なかったです。
◎ゲームならではの仕掛けがある。1つはオプションを利用したもの、もう1つはトゥルーエンドに関わるものなので省略しますが良かったです。
△スクロールとポインターを同時に動かせない。左右のスティックの同時操作が効かないのでゲーム慣れしているとモヤッとすると思います。
△片手操作ができない。減点要素ではありませんが、L=Aみたいに片手で操作できると便利です。
◯資料がいつでも見返せる。登場人物の名前だけ出てきて「誰だっけ?」となったときにすぐに確認できます。
ストーリー
ところどころに古典的なものがありますが、「やっぱり良いね」となりました。
その古典的なものが単純に「良い話」なだけでなく、呪詛という特殊な「縛り」を上手く組み立てて「良い話」を作っているので関心します。
あとはゲームオプションとこっくりさんを組み合わせた「良い話」も関心しました。
エンディングはバッドエンドが5種類あるのですが、トゥルーエンドよりも面白いです。
肝心のトゥルーエンドの方は意外性が無くて、ハッピーエンドでもない(色々なことを見ないことにする)終わり方だったのでちょっと残念でした。内容が悪いということではなく、ピークが少し手前に来る感じです。
答えを見たくない人向けのトゥルーエンドのヒント
- ヒントは福永葉子が何かに気づいて興家彰吾の後ろを指差すところから始まります。チャプターは「錦糸町公園 Part2」です。
- 分岐はその次のチャプターにあります。
- 分岐に入れたあとの質問の3つ目は資料には載っていません。精神とは現身=2つ目の質問の人物を操っていた人物。
システム
クリアまでフリーズせずロードも短めです。
遊ぶ前に「面白かった!」という評価を見ていましたが、実際にその通りでした。コスパ自体はそれほど高くありませんが、満足度が高いのでこれはオススメしやすいです!
今年発売された完全新規のタイトルでもあるので、いっときましょう!
資料も文章量が結構あるのにすらすらと読みやすい文章で良かった
特に怨みの記憶や本所事変は古典っぽいリズムや文体になっているのも芸が細かいし読ませる作りになっていると思いましたね